MENU

性教育ってどこまでできるの?

  • URLをコピーしました!
目次

妊娠までの過程は授業で取り扱っていいの?

数ヶ月前に県内のある中学校養護教諭のAさんからお電話がありました。

A校養護教諭
妊娠するまでの過程や避妊は授業で取り扱ってもいいの?

授業について疑問があったときには、まず、学習指導要領

授業についての疑問が出てきた場合は、まず、学習指導要領を開いて文科省がどこを目指しているのかを確認します。

中学校学習指導要領
第7節 保健体育
第2 各学年の目標及び内容
(保健分野)
3 内容の取り扱い
(7)内容の(2)のアの(イ)については、妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする。また、身体の機能の成熟とともに、性衝動が生じたり、異性への関心が高まったりすることなどから、異性の尊重、情報への適切な対処や行動の選択が必要となることについて取り扱うものとする。

文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示)

中学校学習指導要領(平成29年告示) (mext.go.jp)

 「妊娠の経過は取り扱わないものとする」が「性交を扱わないものとする」と解釈できます。しかし、今ではインターネットから多くの性に関する情報を簡単に見ることができます。中学生が自分で見た性に関する情報を正しく理解し、行動するためには、学校での教育が不可欠です。学校教育では、「性交」「避妊」などを取り扱った授業はできないのでしょうか。

「性に関する指導の留意点」が文部科学省からでています

性に関する指導の留意点(抜粋)

 現在の性に関する指導の基本的な考え方は、平成20年の1月の中央教育審議会答申によるところが大きい。
 中央教育審議会答申に示されたように、近年、性情報の氾濫など、子供たちを取り巻く社会環境が大きく変化しており、子供たちが性に関して適切に理解し、行動することができるようにすることが課題になってきていることから、中学校においては、身体の発育・発達や心身の健康などに関する知識について保健体育科保健分野を中心に確実に身に付けることはもちろん、特別活動等で、自他の個性の理解と尊重、よりよい人間関係の形成、男女相互の理解と協力、思春期の不安や悩みの解決、性的な発達への対応などを重視し、これらを関連付けて指導することが重要となる。

文部科学省 改訂「生きる力」を育む中学校保健教育の手引き 令和2年3月 p.54-55

 「子どもたちが性に関して適切に理解し、行動することができるようにすることが課題」と書かれており、この課題を達成するために、保健体育科保健分野や特別活動等で生徒が性的な発達への対応ができるようにすることが重要であると述べられています。
 また、指導する際の留意点として下の4点が示されています。

指導する際の留意点
・生徒の発達の段階をふまえること
・学校全体で共通理解を図ること
・家庭・地域との連携を推進し保護者や地域の理解を得ること
・集団指導と個別指導の連携を密にして効果的に行うこと

改訂「生きる力」を育む中学校保健教育の手引

 これら4点を踏まえて、生徒に必要な性の指導については「子どもたちが性に関して適切に理解し、行動することができるようにする」をやっていきましょう。

まとめ

 中学校学習指導要領の保健体育科保健分野の内容の取り扱いでは、「妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」とあり、「性交」「避妊」については指導できないと解釈できます。しかし、現在の生徒を取り巻く社会情勢から、「子どもたちが性に関して適切に理解し、行動することができるようにする(平成20年の1月の中央教育審議会答申)」ことが課題となっているため、上の「指導する際の留意点」を踏まえれば指導できると考えられます。
 「指導する際の留意点」にも書いてありますが、学校全体で共通理解を図る必要がありますので、職員で共通理解を図る前に管理職に相談して進めていきましょう。

 投稿についてご質問、ご意見がありましたら、上の「問い合わせ」からお願いいたします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次